もう11月。
プロ野球も高校野球秋季大会も終わり、すっかり寒くなった。

先週末、三連休で東京の自宅に帰っていた。
あっという間に連休が終わり、広島に戻る前夜、翌日になるのが嫌で夜遅くまでビデオを見ていた。
家族も犬も寝静まった中で。。

見ていたのは撮り溜めしていたタイトルのドラマです。
ノーベル賞を獲ったカズオ・イシグロのベストセラー小説を去年日本風にドラマ化したもの。
あまりに暗い内容で当時は全く視聴率取れなかったらしいが、ノーベル賞で再び注目されて再放送されたのを娘に録ってもらっていた。

全10話のうち8話まで見た。
主演は綾瀬はるか。
内容は確かに果てしなく暗い。
日本では受け入れられないのもわかる。
私的にはなかなか良かった。
脇役の水川あさみが演技が下手すぎるのがたまに傷だが。。
SF作品である。

臓器移植用にクローン人間が大量に作られる近未来の設定。
クローン達は世間から隔絶された全寮制施設のようなところで育つ。
成人近くになると施設を卒業し、他の施設のクローンと混ざりながらコテージというシェアハウスのようなところで共同生活する。

このコテージでの生活はやがて来る臓器の提供→死の前の束の間の自由な時間。
クローン達は恋愛やセックスをして過ごす。ちなみに生殖能力は無い。
ただしコテージから逃げ出したりしたら捕まって即時解体される。

という設定。
ありがちな設定で、クローンが反乱を起こして自由を勝ち取る「アイランド」という映画があったが、そんな波乱も全く無い。

登場するクローン達は一人だけ権利を主張して自殺したが、他は皆運命を受け入れて淡々と臓器提供して死んでいく。
という話だった。

作者のカズオ・イシグロは、先が短い若者の人生を表現したかったそうな。

不治の病で余命が決まっている。
どんなに暴れたり努力してもそれは変えられない。
一般の人とは全く違う暗闇を生きるしかない。
そういうことなんだろう。

現実の世界に生きる自分は、重病でもないが、私の人生もこのクローン達と大して違わない。
時々楽しいことや喜び、刺激もあることはあるが、人生の大部分は仕事という絶望で占められ、年取って仕事から解放される頃には体の不調で死を待つばかり。。
そして誰にも何の役にも立たない人生が終わっていく。

むしろ働く必要が無く、若いうちに決まった時に死ぬことが解っていて、しかも臓器提供で人の役に立てるクローン達の方が羨ましいぐらいだ。

クローン人間なんて、万一実現したとしても100年単位の先の話だろう。
でも、臓器を売るために子供を作る人とかは既に貧しい国には沢山いるし、
このドラマ以上に絶望しかない人生なんて、いくらでもある。