人生谷あり底あり

うつ病休職歴あり、自殺未遂歴あり。 2020年6月に早期退職しました。ニート生活を経て2021年4月より底辺職をしながら細々と生きる初老クソ親父の無駄口です...

タグ:真山仁

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9月になり、若干涼しくなってきた。
ようやくエアコンを付けずに過ごせている。

さて、表題の本を最近読みました。
数ヵ月前に「バラ色の未来」という作品を読んで
面白かったので、評価の高い本作も借りて読んでみました。

もう10年ぐらい前の作品です。
2008年の北京オリンピックの開幕に合わせて中国で世界最大の原発を稼働させる。
という話。
技術顧問として日本から来た原発技術者と、恵まれない地方出身ながら中国共産党幹部にまでのし上がって来た男の二人が主人公。

政治が腐敗しきってる中国。技術も未熟で労働者のモラルも全くない中、日本人スタッフの必死な努力で原発稼働にこぎつけるが、中国人の杜撰な作業のせいでその直後に故障、火災、爆発。そしてSBO(ステーションブラックアウト、全電源喪失)になる。

作品のラストは主人公二人が命を賭けて火災を止めに行くところで終わるが、止められずにきっと二人とも死ぬんだろうなぁ、と思わせる。

言わずと知れた東日本大震災の東電福島原発でもSBOは発生した。
震災よりも何年も前に、まるで予知したかのようである。

この小説、中国人のあらゆる面を徹底的に悪く描き、日本人をひたすら善良で優秀であるかのように描写している。
最初はそれが読んでて心地よかったが、だんだん胸糞悪くなってくる。
日本人だってクズはいっぱいいるだろうがと、、

しかしネットで後日談みたいなのを見ると、作者は意図的にそうしたらしい。
本当は日本で原発事故が起きる話を書きたかったが、そうすると原発関係者に取材しても答えてくれないから中国の設定にしたとか。。
要は、日本人を礼賛してるかのような描写は日本人への強烈な皮肉であり、嘲笑ってるということである。
日本を舞台にしてたら、モロに東電原発事故のドキュメンタリーのような小説になっただろう。
メルトダウンとか屋根が吹き飛んで海水で冷やす等、福島で起こったことと同じことが小説の中で起こっている。
真山仁恐るべしと言ったところである。

この人にはもっと日本の絶望的な未来を予知する小説を書いて欲しいものである。
 

3
陳腐なタイトルであるが、表題の小説を読みました。
真山仁という、ハゲタカを書いた作家である。
ハゲタカはドラマで見た。
金融のことは細部まで理解できないながらもそこそこ面白かった記憶がある。

この小説はIRという統合型リゾートの誘致にまつわる生々しい話である。
そう言えば数年前まで日本でIRを作ろうとかいう動きがあった気がしたが、全く聞かなくなった。
たち消えになったのかな?
IRとか横文字を使いながら、実態はカジノのことである。
最近は外国人客が充分多いから無理してIR作らんでもいいやろうと言うことかもしれん。

小説は、地元のカジノ誘致に燃える青森の田舎の町長が奮闘し、誘致がかなり現実的になるも、誘致場所を首相の地元山口にかっさらわれる。
首相の強烈な裏切りに遭った町長がいろいろあって転落しホームレスになって死ぬ。
一方山口にオープンしたカジノもいろいろな深刻な問題があり、、
という内容。

山口県が出るということは首相は安倍をモデルにしているようだ。
小説では首相の奥さんがカジノ中毒になり借金を全て裏社会で肩代わりさせたり、自分の親の会社に不正に大儲けさせたりと、悪の限りを尽くす。
こういうところも現実の安倍の奥さんを模してるように思える。(笑)

小説全体の最初からの8割位は読んでてとても面白かった。
この作家の文章が読みやすいからだろうか。

ただ、終盤で新聞社が全てを白日のもとに晒すところが短いページ数で急ぎすぎた感があり、しりすぼみのように思えた。
逆に終盤までの前置きが長すぎて余計な期待を持たせてる気がする。終わり方が呆気なかった。

また、この作家はカジノを全否定している。
そこが気に入らない。
カジノに手を出すと依存症になり全財産を失うと断言しているようだ。
カジノは持参金が全て無くなってもいい人だけが行くところ、貧乏人は来るなと台詞で言わせている。
本当にそうだったら世界にカジノは存在できないし、覚醒剤のように禁止されるだろう。

カジノのギャンブルは訓練によってある程度稼げるプロになれるのかどうかはわからないが、
ちなみにパチプロというのも本当に存在してるのかもよく知らないが、それで生計を立てられる人もいそうである。
依存症で破滅するような人は他のギャンブルでも一定数いるだろうし、子どもじゃあるまいし自己責任である。

というわけでカジノを100%悪としているのが気に入らない。
パチンコすら勝ったことがない自分がカジノに行くことは多分一生無いけど。

この人の小説では「ベイジン」が評価高いらしい。
次はこれでも読もうかと思ってます。
 

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