人生谷あり底あり

うつ病休職歴あり、自殺未遂歴あり。 2020年6月に早期退職しました。ニート生活を経て2021年4月より底辺職をしながら細々と生きる初老クソ親父の無駄口です...

タグ:カズオ・イシグロ

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この週末はひとりで暇に過ごしました。
歯医者、献血、ネットカフェ、買い物
後は部屋で掃除洗濯読書して終わりました。
部屋をずっと暖房してるので、電気代が恐ろしい。。

ネットカフェの映画配信サイトで「ララランド」を見て、家ではカズオ・イシグロの「日の名残り」を読んだ。
それについて書いてみます。

ネットカフェで見たララランド。
吹き替えなのが残念だったが、さすがに歌は字幕付きだったので良かった。
ミュージカル風の映画なので、ストーリーはありがちなものだった。
人気ドラマGleeに毛が生えたようなもの。

オープニングの高速道路上での壮大な合唱が圧巻だった。
全編通してここが最大の見せ場だった気がする。(^_^;)
アカデミー賞候補だった(ムーンライトに取られたが)だけに、それなりに面白かった。

女優、ジャズバー経営の夢を持つ男女が知り合って恋をする。
最後、二人とも夢を叶えるが恋は成就せず、お互い寂しげに目配せをして終わる。
向こうの俳優達は皆歌が上手いなぁ。
日本ならそんなことできるのは天海祐希ぐらいだろう。
ちなみに題名のラはLos Angelsのことだと見てわかった。
映画のサントラが聞きたいが、近所の図書館には無かった。(T_T)

カズオ・イシグロの小説は読んだことが無かった。
ノーベル賞取るまで名前すら知らなかった。
ドラマ化した「私を離さないで」がそこそこ面白かったので、この人の一番有名な作品らしい「日の名残り」を借りて読んでみた。
これも映画化され、アンソニー・ホプキンスが主演だったらしい。
英国ではブッカー賞という賞も取ったらしい。

読んでみて、これは英国人にしか良さがわからんのではないかと思った。
世界大戦後の設定で、イギリスの大邸宅に勤める執事が自分の過去を振り返るモノローグのみの小説だった。

全体の8割ぐらいはうんざりするような退屈な、執事の自画自賛の自慢話で占められる。

最後の最後で、自分が盲目的に崇拝して仕えていた主人が実は大きな過ちを犯していたこと、また使用人仲間の女性に恋慕われていたことに気づくが時すでに遅し。
自分の人生は間違っていたが、それでも前を向いて生きていくしかない、という終わり方だった。
風とともに去りぬみたいな終わり方である。

イシグロはこういう終始静かな話が好きなんだろうか。
この人の小説はもう読まないかも知れない。

後2週間。
今年の仕事もさっさと終わって欲しいものである。
 

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もう11月。
プロ野球も高校野球秋季大会も終わり、すっかり寒くなった。

先週末、三連休で東京の自宅に帰っていた。
あっという間に連休が終わり、広島に戻る前夜、翌日になるのが嫌で夜遅くまでビデオを見ていた。
家族も犬も寝静まった中で。。

見ていたのは撮り溜めしていたタイトルのドラマです。
ノーベル賞を獲ったカズオ・イシグロのベストセラー小説を去年日本風にドラマ化したもの。
あまりに暗い内容で当時は全く視聴率取れなかったらしいが、ノーベル賞で再び注目されて再放送されたのを娘に録ってもらっていた。

全10話のうち8話まで見た。
主演は綾瀬はるか。
内容は確かに果てしなく暗い。
日本では受け入れられないのもわかる。
私的にはなかなか良かった。
脇役の水川あさみが演技が下手すぎるのがたまに傷だが。。
SF作品である。

臓器移植用にクローン人間が大量に作られる近未来の設定。
クローン達は世間から隔絶された全寮制施設のようなところで育つ。
成人近くになると施設を卒業し、他の施設のクローンと混ざりながらコテージというシェアハウスのようなところで共同生活する。

このコテージでの生活はやがて来る臓器の提供→死の前の束の間の自由な時間。
クローン達は恋愛やセックスをして過ごす。ちなみに生殖能力は無い。
ただしコテージから逃げ出したりしたら捕まって即時解体される。

という設定。
ありがちな設定で、クローンが反乱を起こして自由を勝ち取る「アイランド」という映画があったが、そんな波乱も全く無い。

登場するクローン達は一人だけ権利を主張して自殺したが、他は皆運命を受け入れて淡々と臓器提供して死んでいく。
という話だった。

作者のカズオ・イシグロは、先が短い若者の人生を表現したかったそうな。

不治の病で余命が決まっている。
どんなに暴れたり努力してもそれは変えられない。
一般の人とは全く違う暗闇を生きるしかない。
そういうことなんだろう。

現実の世界に生きる自分は、重病でもないが、私の人生もこのクローン達と大して違わない。
時々楽しいことや喜び、刺激もあることはあるが、人生の大部分は仕事という絶望で占められ、年取って仕事から解放される頃には体の不調で死を待つばかり。。
そして誰にも何の役にも立たない人生が終わっていく。

むしろ働く必要が無く、若いうちに決まった時に死ぬことが解っていて、しかも臓器提供で人の役に立てるクローン達の方が羨ましいぐらいだ。

クローン人間なんて、万一実現したとしても100年単位の先の話だろう。
でも、臓器を売るために子供を作る人とかは既に貧しい国には沢山いるし、
このドラマ以上に絶望しかない人生なんて、いくらでもある。
 

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