陳腐なタイトルであるが、表題の小説を読みました。
真山仁という、ハゲタカを書いた作家である。
ハゲタカはドラマで見た。
金融のことは細部まで理解できないながらもそこそこ面白かった記憶がある。

この小説はIRという統合型リゾートの誘致にまつわる生々しい話である。
そう言えば数年前まで日本でIRを作ろうとかいう動きがあった気がしたが、全く聞かなくなった。
たち消えになったのかな?
IRとか横文字を使いながら、実態はカジノのことである。
最近は外国人客が充分多いから無理してIR作らんでもいいやろうと言うことかもしれん。

小説は、地元のカジノ誘致に燃える青森の田舎の町長が奮闘し、誘致がかなり現実的になるも、誘致場所を首相の地元山口にかっさらわれる。
首相の強烈な裏切りに遭った町長がいろいろあって転落しホームレスになって死ぬ。
一方山口にオープンしたカジノもいろいろな深刻な問題があり、、
という内容。

山口県が出るということは首相は安倍をモデルにしているようだ。
小説では首相の奥さんがカジノ中毒になり借金を全て裏社会で肩代わりさせたり、自分の親の会社に不正に大儲けさせたりと、悪の限りを尽くす。
こういうところも現実の安倍の奥さんを模してるように思える。(笑)

小説全体の最初からの8割位は読んでてとても面白かった。
この作家の文章が読みやすいからだろうか。

ただ、終盤で新聞社が全てを白日のもとに晒すところが短いページ数で急ぎすぎた感があり、しりすぼみのように思えた。
逆に終盤までの前置きが長すぎて余計な期待を持たせてる気がする。終わり方が呆気なかった。

また、この作家はカジノを全否定している。
そこが気に入らない。
カジノに手を出すと依存症になり全財産を失うと断言しているようだ。
カジノは持参金が全て無くなってもいい人だけが行くところ、貧乏人は来るなと台詞で言わせている。
本当にそうだったら世界にカジノは存在できないし、覚醒剤のように禁止されるだろう。

カジノのギャンブルは訓練によってある程度稼げるプロになれるのかどうかはわからないが、
ちなみにパチプロというのも本当に存在してるのかもよく知らないが、それで生計を立てられる人もいそうである。
依存症で破滅するような人は他のギャンブルでも一定数いるだろうし、子どもじゃあるまいし自己責任である。

というわけでカジノを100%悪としているのが気に入らない。
パチンコすら勝ったことがない自分がカジノに行くことは多分一生無いけど。

この人の小説では「ベイジン」が評価高いらしい。
次はこれでも読もうかと思ってます。