9月になり、若干涼しくなってきた。
ようやくエアコンを付けずに過ごせている。

さて、表題の本を最近読みました。
数ヵ月前に「バラ色の未来」という作品を読んで
面白かったので、評価の高い本作も借りて読んでみました。

もう10年ぐらい前の作品です。
2008年の北京オリンピックの開幕に合わせて中国で世界最大の原発を稼働させる。
という話。
技術顧問として日本から来た原発技術者と、恵まれない地方出身ながら中国共産党幹部にまでのし上がって来た男の二人が主人公。

政治が腐敗しきってる中国。技術も未熟で労働者のモラルも全くない中、日本人スタッフの必死な努力で原発稼働にこぎつけるが、中国人の杜撰な作業のせいでその直後に故障、火災、爆発。そしてSBO(ステーションブラックアウト、全電源喪失)になる。

作品のラストは主人公二人が命を賭けて火災を止めに行くところで終わるが、止められずにきっと二人とも死ぬんだろうなぁ、と思わせる。

言わずと知れた東日本大震災の東電福島原発でもSBOは発生した。
震災よりも何年も前に、まるで予知したかのようである。

この小説、中国人のあらゆる面を徹底的に悪く描き、日本人をひたすら善良で優秀であるかのように描写している。
最初はそれが読んでて心地よかったが、だんだん胸糞悪くなってくる。
日本人だってクズはいっぱいいるだろうがと、、

しかしネットで後日談みたいなのを見ると、作者は意図的にそうしたらしい。
本当は日本で原発事故が起きる話を書きたかったが、そうすると原発関係者に取材しても答えてくれないから中国の設定にしたとか。。
要は、日本人を礼賛してるかのような描写は日本人への強烈な皮肉であり、嘲笑ってるということである。
日本を舞台にしてたら、モロに東電原発事故のドキュメンタリーのような小説になっただろう。
メルトダウンとか屋根が吹き飛んで海水で冷やす等、福島で起こったことと同じことが小説の中で起こっている。
真山仁恐るべしと言ったところである。

この人にはもっと日本の絶望的な未来を予知する小説を書いて欲しいものである。