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沖縄旅行の移動中に、図書館で借りた表題の本を読みました。
おなじみの百田尚樹の本です。

ほぼ移動中に読めてしまうぐらい、スラスラと読めてしまいました。
これは秀作です。(男にとっては)

主人公はオオスズメバチのマリア。虫を擬人化した小説で人間は出てこない。
ハチの生態を忠実に再現した戦闘に明け暮れる生涯の物語です。
きっと、ハチをはじめ昆虫の生態をものすごく調べたのだろう。

そういう意味ではこの作者は山崎豊子の後継者かもしれない。
ただ、大抵の作品は女性受けしない(モンスターは例外かな)。

生き物の存在意義は種族保存だとよく言われるが、
同じ種の生き物同士でもゲノム(血筋、家系みたいなもの)が違うと
敵と見做し、自分を守るために殺戮の対象となるようである。
その点は人間の民族紛争などとほぼ同じだ。

主人公マリアはオオスズメバチの帝国の戦士である。
帝国は女王蜂を頂点に、皆メスで構成されている。
マリアの役目は幼い妹達(幼虫)のために、狩りに出かけ餌を調達すること。
餌の対象の昆虫を仕留めると手足や頭を切り落とし、肉団子にして巣に
持って帰る。女性にとってはそんな場面の時点でグロイと感じるかも。

前半はまるでスターウォーズシリーズかアニメの銀河英雄伝説(あんまり知らないけど)
みたいなノリで進んで行く。
名前がやたらかっこいい。
オオスズメバチは学名「ヴェスパ・マンダリニア」というらしい。
その時点で既にかっこいいが、作者がつけたハチ達の名前が、
女王蜂はアストリッド、その夫はフリートムント、
マリアの姉妹はキルステン、ドロテア、エルザ、ロッテ、アンネ=ゾフィー
出会ったオスはヴェーヴァルト等々。

ラスト近くのキイロスズメバチの巣を殲滅させる死闘の場面は、
映画のスリーハンドレッドみたいに次々と死骸の山が築かれる。

最後は帝国の隆盛も終わりを迎え、マリアも寿命と戦闘のダメージで死んでいく。
(成虫の寿命は30日だそうな)
そして次の女王蜂がまた誕生する。
という話でした。

読んでて、迫力ある戦闘シーンが想像力を掻き立てる。

この小説を映像で見てみたい気もするが、今のCG技術では到底無理だろう。
きっとこの話が忠実に映画化できるような時代は、
自分が死んだ後だろうと思う。