先日、NHKの中国地方のみで放送されたドキュメンタリー番組を見た。
私が去年退職した会社で、同じ時期に早期退職した人達のその後を紹介するものだった。

と言っても、山口県にある工場に限っての話ですが。

四人の転職を追っていた。

それぞれ次の仕事に就くのに一年ほどかかりながら、お好み焼き屋経営、運送業のトラックドライバー、介護士、鍾乳洞の説明員になっていった。

お好み焼き屋の人はよく見なかったので割愛。

鍾乳洞の人は元クリーンルームで作業する班長で、子供が3人いて、2500万円の一戸建てを8年ほど前に購入していた。
山口の田舎で2500万と言えば豪邸である。
しかもその人は九州の工場への転勤を受け入れれば辞めずに済んだのに単身赴任を拒否して早期退職している。
鍾乳洞で日給7000円の一年契約で働き始めたとのことだった。

トラックドライバーの人は、元工場機械の保全の仕事をして、数々の資格を取り、高卒では異例の総合職に昇格したと言う人だった。
前会社の経営が傾いた頃に離婚している。

介護士の人は前の仕事内容は忘れたが、介護の仕事が辛くて、辞めれるものならすぐにでも辞めたいというようなことをつぶやいていた。

いずれの人も結果だけ見れば、収入は大幅減。慣れない客商売に苦しみ、時代の流れに翻弄されているという、台本どおりの出来栄えである。

でも、彼等には本当に悲壮感はあるのだろうか?
制作側の要求でそう装っているだけ、やらせである可能性も。

彼等は多額の割増退職金を手にしている。
40代後半なら1500〜2000万円か。
それだけ貰えて、しかも物価の安い田舎なら家族持ちでも5、6年は無職でも大丈夫だろう。

仕事が辛いと言っても、工場の班長や保全の方がよっぽど辛いと思う。
品質改善のノルマや小集団活動、安全衛生や環境管理の厳しい監査など精神的に辛いことは多々あっただろうと推測する。

それに比べると今の仕事は給料は安く、体もきついが、精神的には随分楽になったのではないか。

私は割増退職金を捨てて、親会社転籍を選び、結果精神が崩壊した。
そんな私に比べれば、彼等こそ勝組に思える。