入院中の生活は、自由な時間は山ほどあった
けど、行動の自由は極端に制限されていました。

お金は持てない。携帯はもちろんダメ。
爪切りや髭剃りさえ取り上げられる。
髭剃りは日に一回、介護士が持ってくるのを待ってするしかない。
ベルトも取り上げられる。
これで首を吊るかもしれないから。
精神異常者はそういう扱いである。

することと言えば、廊下を徘徊するか、共有スペースでテレビを見るか、
唯一持ち込みが許されているラジオを部屋で聴くか、ぐらい。
自分は部屋に閉じこもってラジオを付けてることが多かった。

たいして聴きたくもないけど、ナイターを毎日のように聴き、
昼間の帯番組を聴き、(赤江珠緒や吉田照美や週末の久米宏や爆笑問題など)

でも、当たり前のことだが、ラジオの向こうの人々は皆働いている。
自分は働いてない。
そう思うといたたまれなくなって消すこともしばしば。。。
今では当時のことを思い出してしまうので、ラジオは一切聞かない。

ずっとベッドで寝転んであまりにも動かないので、退院後四十肩になってしまった。
今でも治っていない。

肝心の治療について、
10月に広島の病院に変わるまで、約半年に渡って東京の病院の主治医と心理士と付き合ったことになる。
効果はあったのか?二人のおかげで7か月の休職で済んだのか?

正直、精神科医、心理士は何の助けにもならなかったと思う。
回復したのは大部分は時間の経過によるものだと思う。

薬(特に睡眠薬)はそれなりに役に立った。
睡眠薬は今でも手放せない(今後も一生手放せないだろう)

認知行動療法というのをやったが、何の意味も無かった。
考え方を変える訓練なんて、怪しい宗教じゃあるまいし、そんなことしたって辛い仕事が楽になるわけもなく、無能な人間が突如有能になるわけもない。

主治医は、
「来年の春頃にまた同じことを繰り返すような気がする。」
と、不気味な予言をした。。。

何の役にも立たなかった主治医だが、
この予言だけはきっと当たるような気がする。
これは運命のようなものかも知れない。